書籍や動画を見て独習してらっしゃる方がおられます。モチベーションはあっても習いたい拳法や老師が近くにいないとか仕事の関係で時間がとれない、道場や教室に行くまで踏みきれない…、理由はいろいろあるようです。しかし残念ながら独習なので、姿勢も基本の要訣も全く出来ておられないようです。修正してもらえない訳ですから当然ですね。現代人の悪いところで、情報さえ入手できれば、マニュアルさえあればできると思ってしまうわけでしょう。これは入門してからも同じことで、習っても「教えてもらってない」と思ってしまうという事態になります。教えてもらえばすぐに出来るようになるという誤解を持ってらっしゃいますね。習った事を自分自身で練習を行う、感覚を捜す、工夫する。さらにはできるだけ時間を作って、毎日出来るだけ練習を行う…消化する。こういった当たり前の工程が抜けておられるようです。老師について習ってもそうですから独習となると、ほとんど思い込みで修正されないまま走ってるので、その時間はとっても無駄になってしまってます。何年かかっても遠くても自分の先生を見つける、指導を受ける、練習を止めない、休まないで持続するのが結局のところは一番近道ですね。
月別アーカイブ: 2022年12月
健康法としての易筋経
長春八極拳の易筋経は少林拳のそれとは全くの別ものと言われています。別名「八極軟架」、套路(型)は八極拳、劈掛掌に太極拳を加えたものと思われます。練習の時に太極拳が力を抜いて、身体をゆるめる事を要求するのに対して、この易筋経は実際に身体に負荷がかかっているのと同じように筋を伸ばして練習を行います。例えば「重い鉄球を持ってゆっくり下げるような感覚で!」といった具合です。呼吸を重視してゆっくり深く行うところは太極拳と同じです。練習してみると分かりますが、軽く行っても血流が動くようななかなかの運動量、ストレッチの要素があります。もちろん武術気功であり、中国武術の勁力を養成する練功法です。長春市では健康目的で練習される方も多くおられます。動画をUPしてます、ご覧下さい。
※12/17,24の土曜日am9:00~11:00無料体験練習会を行います。
ホームページの問い合わせフォーマットからご連絡下さい。
健康目的の八極拳は?
武学練用舎で練習している中国武術は八極拳、劈掛掌、大洪拳、十路単腿、八極太極拳
、全て中国東北地方の長春で行われているものです。長春は旧満州帝国と言われた時代には首都で、新京と呼ばれていました。長春八極拳はその時に宣統帝薄儀の護衛、武術教師をしていた霍殿閣が始まりです。霍殿閣の老師はもちろん李書文ですね。この時代に霍殿閣を頼って長春に来た師兄弟の周馨武が「三馬路」という武術館を建て、それによって民間にも広く普及されました。そういう事情からかこの長春市で行われている伝統武術はほとんど八極拳が主流となってます。私が譚師爺に習っていた1994年~1997年頃、師爺のところには70歳代~80歳代の年配の方も数名練習に来られてました。八極拳と言えば激しく足で地面を踏む「震脚」をイメージされる方がほとんどだと思います。実際に会に入会される時に「練習について行けるでしょうか?」と質問される方がいらっしゃいますから。そんな八極拳を高齢になってから練習できるの?と思われるかもしれません。…しかしながらと言うか当たり前なのですが高齢になってそんなには激しくは練習しません。闖歩(捻歩)を使いますが、震脚はほとんどしません。そんなに速くも行いません。腰も低くありません。いわゆる三盤合一とか六合と言われる身体の統一や姿勢、呼吸はしっかり注意されてますが、各々が自分のペースで練習されてます。若い時には八極拳の特徴である「発勁」を意識して、重心移動からキレのある動作を目指しますが、歳を経てからはそんなにキレのある動きを練習で行わなくなるようです。健康目的なのでそれで十分なのですね。激しく練習しなくてももともとの動作が合理的に出来ているので運動量は足りてるわけです。要は練習のやり方次第で、老若男女関係なく、身体に無理なく毎日気分爽快に出来るということです。
なかなか上達しない方へ
伝統武術はなかなか上手くならないものですね。「自分はこんなものだ」と割りきれれば良いでしょうが、全く進歩しない状況で何年も練習するのも辛いものでしょう。
原因を考えてみますと、私自身そうだったのですが、一つ目として書籍、雑誌の内容を鵜呑みにして、自分自身の頭の中の理屈、経験の中だけでこうなるはずと決めつけて正解の感覚を見逃してしまっている…。
この場合、解決策はまず1度、書籍や雑誌を捨てるのです。情報さえ得られれば全て解決するという考え、或いはマニュアル依存性がないでしょうか?。
二つ目は練習量が圧倒的に不足している。これは昔と違って、現代人は皆そうなので、自分で自覚して時間を作っていく以外ありませんね。
三つ目は姿勢から始まる基本、ステップアップしていくポイントを覚えていない、消化していない。四つ目はもともと無意識下で上手くなろうとは思っていない。この三つ目と四つ目はセットになってる方が多いですね。モチベーションの低さが原因でしょうか?
しかしながら私個人としては、上手くならない方の多くはこの四つよりも伝統武術の持っている「能力開発」という面を見ていないのが一番大きな理由ではないか?と思ってます。教わった練習法だけでなく、いろんなアレンジをしてみたり、その都度自分で正解と思う身体の使い方、感覚を探してみるのも良いでしょう。腕立て伏せはやらないとか決めつけてないで拳立て、指立てもしてみましょう。呼吸法は試したのでしょうか?武術以外を調べて何種類と試行錯誤してみたりは如何でしょうか。要は何でも試してみる、新しい感覚を捜してみる…です。
私個人はいまだに時間の出来た時に限界を越えて練習してみたり、時間感覚がなくなるまででも練習してみたり…です。