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李英老師の講習会についての捕捉

今回の李英老師の講習会は岡山の長春八極拳 武学練用舎の入会希望者を募ることを主旨としております。なので八極拳はもちろん、武道、武術未経験で構いません。「八極拳を習ってみたい」、「日本武道をしてた、或はしてるけど八極拳をやってみたい」で大丈夫です。李英老師のオープンな講習会は多分今回が最初で最後になります。岡山にお住まいで希望されてる方は、早く応募をお願いします。定員に近づいております。岡山県外の方、これからの申し込みは申し訳ありませんがご容赦下さい。

李英老師の講習会

日本における長春八極門の代表であり、また私の老師である李英老師の講習会を行います。今回は門内だけでなく、どなたでも参加して頂けるオープンな講習会です。日程は10月13日(日)~14日(月)の連休。参加費用は1日参加が¥5,000、2日間の参加で¥10,000になります。場所は参加される方へ決定次第お知らせします。連絡はホームページのお問い合わせフォーマットからか、直接電話で武学練用舎の太田までお知らせ下さい。早めのご連絡をお願いします(締め切る場合があります)。太田(tel)090-1763-5450

易筋経=軟架子の続き

長春八極拳でこの易筋経=軟架子はとても重要視されています。もうずいぶんと昔ですが長春から日本に帰る前、この易筋経を練習してると劉師叔に「これは八極拳の奥義なんだから、日本に帰ってあんまり人に見せるんじゃないゾ…」って言われた記憶がありますね。実際のところ拳譜にも「八極拳の奥義の一つ」と明記されてますね。純粋な柔法であり、爆発動作の多い八極拳の欠点を補うものであること。緩慢に、意念四稍をもって筋には暗勁を含ませ、動作の起伏転折と呼吸を合わせることで効果が出ると言うことです。李書文~霍殿閣、深いですね。

易筋経=軟架子

長春八極拳の易筋経は別名「軟架子」、霍慶雲公が生前に仰っていたとされるお話「李書文が夜な夜な練功していた軟架子」のこと。十数年前に李英老師にお供させて頂いて長春に行った際に、李老師の師兄で譚吉堂師爺の開門弟子である孫生亭師叔(故人)はこの易筋経について「長春では長い間、少林拳の高仙雲が伝えていたとされていた。私は高仙雲の孫に会いに行ったが、易筋経は持っていなかった。つまりはこの話はウソである。また、長春の易筋経は少林拳の易筋経の座法、臥法、立法とは大きく異なり、革新的な動功となっている。結局、全くの別物なのである。」と仰ってました。個人的には李書文が作ったのかな(更に霍殿閣が改良?)と思ってます。名称が少林拳にある易筋経となっているので怪しく思う方がいらっしゃるかもしれませんが、実際の套路は八極拳、劈掛掌、太極拳の動作からなっており、それぞれ技を編んだ形になっています。長春八極門で本来は八路からなりますが、譚吉堂師爺の軟架子は後半七、八路の馬歩からなる複数の動作、腕立て伏せの動作などの技と言うよりは鍛練的な動作を削除して、必要な動作、また新しく創った動作は五路に組み込み全体としては六路に整理されてます。これは譚師爺の口癖「没有用=役に立たない」の通り、套路を技を編んだものとして見てるためです。武術として練習の時には呼吸、姿勢、三盤合一、六合、三節論、内外五行、特に四梢、それに一番のポイントとして「意念」、これによって勁道(暗勁)を抽出して技とします。かつて譚吉堂師爺は「易筋経の力と八極拳の爆発力を融合させるのだ!」と仰ってました。便宜的に易筋経の名称が使われたのは学習者に分かり易くするためではないかと思われます。易は改変することだそうですから、套路を練ることで易筋経、易骨経、易髄経(洗髄経)としていく。気が筋肉から骨、骨髄まで貫通して本来は動かせない部分まで使える様になる。現代風に言うところの「身体操作」を意図として伝えたかったのではないでしょうか。なので長春では套路の単式動作を抜き出して部分的に繰り返し練習する場合もあります。いわゆる道教の練精化気、練気化神、練神還虚ですね。もちろん健康法としても最高のものです。

練功器具(硬功夫)

長春八極拳の練功法には有名な鉄砂掌以外にも器具を使った練習方法が存在します。他の門派でも行われる樹木を使って打ったり蹴ったりする打樁、壁に体当たりする靠山壁以外にいくつか紹介すると刁球(粘土で五指の入る円筒状の形の物を作り手首、肘、肩に負荷を掛けて丹田からの勁力を養成する練習)。拧掃箒把(竹の枝を束ねて針金でまとめた捻り棒)。绷弓(竹をバネとして複数使って連結させた目標の板を拳で打つ練功器具でどことなく巻藁を発展させたような印象があります)。

掌板(かつて譚吉堂師爺が練習されていたとされる練功法で地中にまで入っている分厚く重い板を掌で打ち上げる練習)。

煽球功(趙平師叔のされていた練功法、買い物籠のようなバスケットの形の入れ物に小石を詰めて、それを指で引っ掻けるように提げながら打ち出す、或は掴む練習)。塌板(東北三兄弟の一人、趙平楠の行っていた練功法でシーソーの形態の器具で、練習者の反対側に土嚢のような重りを付け、練習者側の持ち上がってる板を叩き落とす練習(金剛ハ式の伏虎))。木桩=木人(カスタマイズとして硬いスプリングに取っ手を付けて握って捻ったり、反動で腹部を打ち付け排打功を練習)。木人は他に抱肘、大纏、外把樁など練習の範囲が広かったようです。

かつて譚吉堂師爺は「どう学んで、どう練習して、どう使うか」と言うことをしょっちゅう言われてました。その言葉をお借りすれば、これは開発者が技として「型(単式)をこう使いたい」という目的から、逆算して「ならばこう練習する」という考えで練功器具を作っていったと思われます。実際に李英老師は長春でもともと袋を吊り下げて打ったり蹴ったりするタイプの鉄砂掌の練功を、袋からボクシングで使われる革製のダブルのパンチングボールに改良されて成果をあげられてます。他にも故孫生亭師叔の著作「長春八極拳全集」には沙包功、吸球功、抹板などが紹介されています。もともとは練習の効率が上がるよう霍殿閣が創ったものですが、それぞれの技のためにそれぞれ数だけどんどん発展したものと思われます。もちろんスタートは筋力的なアップからですが、目的は勁力、勁道、身体操作であるのは明白です。なので現代に置き換えれば木刀でも鉄の棒でも1本歯下駄でもサンドバッグでも本人が「こう技を使うから、こう練習する」に当てはまればそれで良いと思います。

鉄砂掌の本当

八極拳と言えば強烈な発勁=打撃力の強さと思う方がほとんどでしょう。実際のところ譚吉堂師爺から李英老師の系統でもいわゆる「手の重さ」とか「手足に功夫をつけろ」とか言われてきました。ここで中国武術を練習される方の間で度々話題に上がる「鉄砂掌」の練功について私の理解してる範囲で少しだけ説明します(最近、何故か良く聞かれるので…)。長春八極拳で練習する鉄砂掌の目的は先に書いた通りで「手足に功夫をつけろ」ということになります。台の上に鉄砂袋(50×70×14くらいの大きなものでないと効果は無い)を乗せて肘から先部分、手の甲、手のひらの表裏全体を打ちつける練習と李英老師の改良されたパンチングボールに鉄砂を詰めたものを吊り下げて、それを打ったり蹴ったりする練習の2種類存在します(正確には鉄砂と緑豆を配合します)。練習した人は分かりますが、自分が最初に思ったより打ったり蹴ったりできるものです。しかしながらダメージは毎日の蓄積で貯まってくるので、鉄砂掌を打つ規則を守ってないと、疲れがたまった時にいっぺんにつけがやって来ます。台の鉄砂袋を打ち付ける練習は特に負担が大きく、正直なところ私はあまり熱心には練習しませんでした。パンチングボールのタイプは良く練習して今も時々行っています。もう故人ですが、同じ李英老師の入室弟子でK会に所属していたY氏は鉄砂掌の練習をやり込んでました。当時30歳そこそこで暗勁を打ってましたからかなりのものです。李英老師も「見てみろ!Yの掌には毒がある」と褒めておられました。しかしながらこの鉄砂掌の練功は身体に負担がかかるのが欠点で、Y氏も鉄砂掌の鍛練が直接の原因とは言えないとは思いますが、癌で他界してしまいました。本人も少し自覚があったのか亡くなる前に「打樁(木を打つ練習)だけにしとけば良かった…」と呟いてました。そう言えば霍慶雲公は晩年は半身不随、長男であった霍文伯氏は晩年は失明、長春では若い時に鉄砂掌の鍛練をやり過ぎて、腰が異常に曲がってしまったり股関節が変形してしまった老人が結構いたりという話がありました。

とは言え効果は絶大で結果的に私も「手足の重さ」は何とか獲得出来てます。「なぜ手が重たくなるのか?」…個人的には「感覚の麻痺」が一番の理由と思ってます。痛感が若干薄れて来てるので本来の腕の重さ(体重の8%)をおもいっきり解放できる、ブレーキが掛からない。単純な脱力とは別の夢中になる異質の重さ。そこに到る秘密はその練習方法にあります。特別製の練功道具と勁道を獲得させる秘伝の打ち方、そして決め手として打撲による鬱血を解決するための鉄砂薬にあるのでしょう。ちなみに長春八極拳のそれは「雲南百薬」ではありません。成分もまるっきり違ってました。今、現在は誰ももってないし、作ることも不可能だと思います。

現在、ネットで入手出来る鉄砂の中には「砂鉄」も入ってますが(砂鉄では打った時に粒が小さ過ぎて袋の中で流動しないので練功には適していない)、鉄砂掌で練功する時の鉄砂は鋳物工場で研磨の時に使用されるスチールショット(小さな鉄球)ということになってます。ここまで書けば「鉄砂掌って身体にとっては絶対ダメなヤツ!」って分かると思います。まさか自己流で鉄砂掌を練習される方はいないと思いますが…。絶対に無理です!止めて下さいね。命が無くなる危険があります。武学練用舎では入会される方を募集してます。ホームページからお問い合わせフォーマットでご連絡下さい。https://www.bugakuren.com/

内含勁について

youtube動画で「内含勁」をUPしたので、捕捉の説明を入れます。
内含勁は簡単にいえば身体にスプリングが入ってるような感覚、勁道のことです。下丹田に気を沈ませてお腹の内側から溢れてくる圧力感を手足に繋げます。合気道で言われている呼吸力と同じ類いと思って頂いて構わないでしょう。この内含勁と言う文言は多分長春八極拳だけで、老師によっても違うと思われます。八極拳の基本である小架や金剛八式、易筋経の練習を通じて自然に培われます。つまりは沈墜勁(沈ませる)、十字勁(十字方向に展開)、纏糸勁(螺旋)の追究ですね。
長春八極拳 武学練用舎では会員を募集してます。武道未経験の方、年配の方、女性ももちろん大丈夫です。日本武道の方、他門派の方も歓迎してます。
ホームページのお問い合わせフォーマットからご連絡下さい。
ホームページ
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個別レッスン

台湾系の八極拳を習っているYさんが個別レッスンを受講して下さいました。お隣の香川県からです。うちの会は他門派でも日本武道を習っていてもウェルカムです。
思い出すのがもう34年も前、長春八極拳を習い始めたころ私は京都に住んでいたので夜行バスを使って東京まで通ってました。しばらくして譚吉堂師爺(故人)が初来日、2年目は上京した時は李英老師のお家に泊めて頂いて指導して頂くことも度々ありました。今でこそ私の八極拳はなんとか形になりましたが、当時の私は体格的にも劣り、身体能力も全然ダメ、素質や才能とは程遠く、ただただ熱いだけ、モチベーションばかりの人間でした。1994年~1997年まで李英老師の許しを頂いて、譚吉堂師爺のいらっしゃる長春へ留学。直感、インスピレーションに導かれてと言えば聞こえが良いのですが、実際は「李英老師を教えた譚吉堂師爺から直接習ってみたかったから」だけ…。身の程知らずも良いとこでした。しかしながら何でも行動を起こすのが大事!そこだけは良かったのかなと思うしだいです。